茶色の二つの眼が光っていた

 赤い顔の周囲《まわり》には白い毛並があった。茶色の二つの眼が光っていた。それは猿であるらしい。(猿じゃ、人間なら引きあげて貰えるが、猿じゃしかたがない) 大塚はがっかりしたように云った。覗いていた赤い顔がきゃっきゃっと二三回声をたてたかと思うと、もう見えなくなってしまった。(人間の真似ができ...

このエントリーの続きを読む≫

— posted by id at 09:16 am  

餓死にすることは、武士の恥じゃ

 大塚はこんなことを云いながら歩きだした。彼は今朝早くから谷から谷をあさっていたが、腰の袋に一羽の山鳥を獲っているだけで他に何も獲っていないので、何か一二疋好い獣を獲りたかった。兎は彼の眼から放れなかった。彼はもしやそこらあたりに隠れていはしないかと思って、注意しいしい歩いた。 大塚は谷の窪地の隅...

このエントリーの続きを読む≫

— posted by id at 09:15 am  

精霊流しの一脈の澪《ミヲ》

精霊流しの一脈の澪《ミヲ》を伝うて行くと、七夕の篠《サヽ》や、上巳の雛に逢着する。五月の鯉幟も髯籠の転化である。昔京の大原で、正月の門飾りには、竹と竹とに標《シ》め縄《ナハ》をわたして、其に農具を吊り懸けたものだと云ふ。此は七夕は勿論、盂蘭盆にも通じた形式で、地方によつては、仏壇の前に二本の竹をたて...

このエントリーの続きを読む≫

— posted by id at 09:14 am  

T: Y: ALL: Online:
Created in 0.0127 sec.

http://interblue.jp/